2002/11/30
石川県川北町
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石川県川北町「クリケット教室」活動報告
報告者 三戸 実
実施場所
石川県能美郡川北町役場会議室及び屋内運動施設「サンアリーナ」
実施日
2002年11月30日(土)
講師
松村謙一郎
指導者
萱場俊明、三戸実、宮地直哉(順不同、敬称略) 
参加者
川北町内の小学生、一般町民、教育委員会の方など計12名
国際交流員
Ms. Kate PARSONS (豪州メルボルン出身)
時間割
(1)指導者自己紹介、道具・ユニフォーム紹介(約15分)
(2)ビデオ(TBS系BSデジタル放送”BS-i”)によるルール説明(約15分)
(3)指導者実演によるルール説明(約20分)
(4)ボウラー、バッツマンに分かれて基本プレーの指導(約30分)
(5)「ペアーズクリケット」(約45分)
(6)「ダイヤモンドクリケット」(約20分)
(7)指導者によるデモンストレーション(約15分)
(8)ビデオ「クリケットの世界」上映(約25分)
(9)アンケート(約10分)
実施経緯
9月上旬に石川県川北町教育委員会国際交流委員である、Ms. Kate PARSONS(ケイト・パーソンズ。豪州メルボルン出身。高校生時代に岐阜での留学経験有り。以下「Kate」という。)から町の国際交流イベントとしてクリケット教室を開催したいので、道具を貸してほしいとの依頼があった。この依頼に対しレクリエーショナルクリケット協会 松村謙一郎会長が指導者の派遣を提案し、今回のイベント実現となった。


【指導内容】
(1)指導者自己紹介、道具・ユニフォーム紹介(約15分)
 ア.クリケットに対する世界と日本の認識差紹介
 120カ国で愛好されている球技でサッカーに次ぐ世界第二位の競技人口を誇る、等々解説。
 イ.ユニフォーム紹介
 着用する上着は「襟付きである」ことを紹介したうえで、白色【セーター着用】と国際交流委員出身国代表カラーユニフォームとを比較解説。
 ウ.道具紹介
 バット2本、硬球2個、レガース(白色&赤色それぞれ1対)、バッティンググラブ(1対)、ウィケットキーパーグラブ(1対)、ウィケット(スタンプス&ベイル1組)を回覧・展覧し、使用方法や使用目的等について解説。

(2)ビデオ(TBS系BSデジタル放送”BS-i”)上映によるルール説明(約15分)

(3)指導者実演によるルール説明(約25分)
 ア.打撃部門
 (ア)打者の呼称「バッツマン」の確認
 (イ)男子児童1名の助力を得て、以下の項目について野球との比較解説
 (e.に関しては、男子児童2名の助力を得る)
 a.打者の目的
 打球を遠方へ飛ばす打撃ではなく、「ウィケットを防御する打撃」を心がけさせる。
 b.打撃の方向
 打者は「自分を中心にして360度、どの方向にも打撃ができる」ことを認識させる。
 c.ストライク/ボールゾーンの有無
 「ストライクゾーン/ボールゾーンが無い」ことを認識させ、積極的な打撃を心がけさせる。
 d.デッドボール判定の有無
 「デッドボール判定が無い」ことを認識させ、身体に迫るボールからバットを活用して身体を防御する方法を心がけさせる。
 e.打者(攻守)の交替
 「打撃はペアとなった2人で実施される」「打者がアウトになった場合にはペアの一方の打者のみが交替する」ことを認識させる。
また、攻守の交替は「打撃ペアが組めなくなった時点(11人制であれば10人がアウトとなった時点、6人制であれば5人がアウトとなった時点)で実施される」ことを認識させる。
 f.得点方法
 明確な意思表示(「Yes」「No」の大きな掛け声、身振り)により、得点時の「パートナーシップの重要性」を認識させる。
 イ.投球(守備)部門
 (ア)投手の呼称「ボウラー」の確認
 (イ)野球との比較解説
 a.投球の目的
ボールを(打者の腰位置程度の高さしかない)ウィケットに当て打者をアウトにするため、力強い投球ではなく「丁寧なワンバウンド投球」を心がけさせる。
 b.投球の方法
投手の打者に対する投球は「肘を伸ばさなければならない」ことを認識させるとともに、打者に対する投球時に投手が肘を曲げて投球した場合には、「違反投球(*)を宣告され打撃側に1点付与される」ことを認識させる。  *「ノーボール」と呼称される。
 c.基準投球単位「オーヴァー」と投手交替
 6球を1セットとした投球単位「オーヴァー」を認識させるとともに、「打者に対する投球はオーヴァー毎に実施される」「投手はオーヴァー毎に必ず交替しなければならない(先発完投といった投球形態はない)」ことを認識させる。
 d.投球の方向
 打者に対する投球は、「ウィケットの片端からのみ実施されるのではなく、ウィケットの両端からオーヴァー毎に交互に実施される」ことを認識させる。
 e.暴投判定の有無
 ストライクゾーン/ボールゾーンは無いが、投手が打者に対して明らかに打撃不可能な投球をした場合には、「暴投(*)を宣告され打撃側に1点付与される」ことを認識させる。
 *「ワイドボール」と呼称される。

(4)ボウラー、バッツマンに分かれて基本プレーの指導(約30分)
参加者をボウラー(指導者:萱場、宮地)とバッツマン(指導者:松村、三戸)の2グループに分け、基本的な動作の指導を交代で実施。ボウリングにおいては肘を曲げないこと、ウィケットを狙うこと、ワンバウンドで投球することを、バッティングにおいてはストレートバットと左肘の使い方など野球と違うテクニックをポイントとした。

(5)「ペアーズクリケット」(約45分)
全員参加の「ペアーズクリケット」を実施。初めてのゲームに参加者が戸惑う場面が多く見られたが、野球少年がすばらしい打球を飛ばすなど飲みこみの早い参加者もいた。

(6)「ダイヤモンドクリケット」(約20分)
全員参加の「ダイヤモンドクリケット」を実施。ボールのフィーダーは松村が務める。スピーディーな展開のゲームに盛り上がった。

(7)指導員によるデモンストレーション(約15分)
参加者を全員守備に、三戸、宮地がバッティングペアとなり、デモンストレーションを数オーバー行う。いかに得点を取るか、守備の間隙を狙うか、running between the wicket、パートナーシップをポイントにデモンストレーションを実施。

(8)ビデオ「クリケットの世界」上映(約25分)
役場会議室にて、「ペアーズクリケット」で最高得点8を挙げた小学生ペアにICCキャップを贈呈。その後、ビデオ「クリケットの世界」を上映しながら今日行ったプレーの復習、本式のクリケットについて理解を深めた。紅茶とKate手作りのスコーンを頂戴し、オーストラリアンな時間を全員で共有した。

(9)アンケート(約10分)
参加者にアンケートを記入して戴き、全員に「イージークリケット」シール及びチラシを配布。

【総括】
 イベント期間中はあいにくの冷たい雨であったが、川北町教育委員会の暖かい歓待を受け、指導者として参加した報告者も大変楽しめたイベントであったと思う。欲を言えば、もう少し参加者がほしかったところであるが、川北町の教育委員会としても独自のチラシを作るなど大変努力をされていた様子もうかがえ、今後の活動に期待するものである。交流委員のKateは大変親しみの持てる方でこうした国際交流委員とのネットワークをいかに広げていくかが当協会の活動を広げるポイントである。
 参加者は最初こちらの説明に対し物静かな反応であったが、実際に体を動かし、ゲームを行う中で次第に反応が良くなり盛り上がっていった。ゲームにおいては当然のことながらバットを置いて走ったり、打ったらなんでもかんでも走ったりするなど野球の動きが頻繁に見られたが、小学生や女性の参加者の中には大変センスの有るプレーをしていた方も多く見られた。