2002/11/18
袖ケ浦市立平岡小学校
幽谷分校
袖ヶ浦市立平岡小学校幽谷分校「クリケット教室」活動報告
報告者 島田 雄太
実施場所
千葉県袖ヶ浦市平岡小学校幽谷分校体育館
実施日時
2002年11月18日(月)
講師
松村謙一郎
指導者
島田雄太
参加者
24名(3年生と4年生を同時に教える)
EAT
Mr. Kevin Grounds(ニュージーランド出身)
時間割
(1)指導者自己紹介、クリケットの道具・ユニフォーム紹介(約5分)
(2)ビデオ(TBS系BSデジタル放送”BS-i”)によるルール説明(約10分)
(3)指導者実演によるルール説明(約20分)
(4)児童達による「ペアーズクリケット」(約10分)
実施経緯
 袖ヶ浦市立小学校全7校で英語授業を担当している英会話学校教師Mr. Robert WHITTAKER(ロバート・ウィテカー。豪州シドニー出身。在日5年。以下、「Mr. Rob」という。)からの依頼(袖ヶ浦市立小学校全7校に在籍する小学3〜6年生の全クラスに、「英語授業」の一環としてクリケットを指導する計画)。
 2002年9月24日(火)、レクリエーショナルクリケット協会 松村謙一郎会長及び、(NPO)日本クリケット協会 宮地直樹主任普及員とMr. Rob(他、千葉県教育委員会総合教育センター所長、研究指導主事同席)との打ち合わせにより実施決定。

【指導内容】
(1)指導者自己紹介、道具・ユニフォーム紹介(約5分)
 ア.クリケットに対する世界と日本の認識差紹介
 120カ国で愛好されている球技でサッカーに次ぐ世界第二位の競技人口を誇る、等々解説。
 イ.ユニフォーム紹介
 着用する上着は「襟付きである」ことを紹介したうえで、白色【セーター着用】とEnglish Activity Teacher (以下、「EAT」という。)出身国代表カラーユニフォームとを比較解説。
 ウ.道具紹介
 バット2本、硬球2個、レガース(白色&赤色それぞれ1対)、バッティンググラブ(1対)、ウィケットキーパーグラブ(1対)、ウィケット(スタンプス&ベイル1組)を回覧・展覧し、使用方法や使用目的等について解説。

(2)ビデオ(TBS系BSデジタル放送”BS-i”)上映によるルール説明(約10分)

(3)指導者実演によるルール説明(約20分)
 ア.打撃部門
 (ア)打者の呼称「バッツマン」の確認
 (イ)男子児童1名の助力を得て、以下の項目について野球との比較解説
 (e.及びf.に関しては、男子児童1名に加えて、女子児童1名の助力を得る)
 a.打者の目的
 打球を遠方へ飛ばす打撃ではなく、「ウィケットを防御する打撃」を心がけさせる。
 b.打撃の方向
 打者は「自分を中心にして360度、どの方向にも打撃ができる」ことを認識させる。
 c.ストライク/ボールゾーンの有無
 「ストライクゾーン/ボールゾーンが無い」ことを認識させ、積極的な打撃を心がけさせる。
 d.デッドボール判定の有無
 「デッドボール判定が無い」ことを認識させ、身体に迫るボールからバットを活用して身体を防御する方法を心がけさせる。
 e.打者(攻守)の交替
 「打撃はペアとなった2人で実施される」「打者がアウトになった場合にはペアの一方の打者のみが交替する」ことを認識させる。
また、攻守の交替は「打撃ペアが組めなくなった時点(11人制であれば10人がアウトとなった時点、6人制であれば5人がアウトとなった時点)で実施される」ことを認識させる。
 f.得点方法
 明確な意思表示(「Yes」「No」の大きな掛け声、身振り)により、得点時の「パートナーシップの重要性」を認識させる。
 イ.投球(守備)部門
 (ア)投手の呼称「ボウラー」の確認
 (イ)同行スタッフ1名の助力を得て、野球との比較解説
 a.投球の目的
ボールを(打者の腰位置程度の高さしかない)ウィケットに当て打者をアウトにするため、力強い投球ではなく「丁寧なワンバウンド投球」を心がけさせる。
 b.投球の方法
投手の打者に対する投球は「肘を伸ばさなければならない」ことを認識させるとともに、打者に対する投球時に投手が肘を曲げて投球した場合には、「違反投球(*)を宣告され打撃側に1点付与される」ことを認識させる。  *「ノーボール」と呼称される。
 c.基準投球単位「オーヴァー」と投手交替
 6球を1セットとした投球単位「オーヴァー」を認識させるとともに、「打者に対する投球はオーヴァー毎に実施される」「投手はオーヴァー毎に必ず交替しなければならない(先発完投といった投球形態はない)」ことを認識させる。
 d.投球の方向
 打者に対する投球は、「ウィケットの片端からのみ実施されるのではなく、ウィケットの両端からオーヴァー毎に交互に実施される」ことを認識させる。
 e.暴投判定の有無
 ストライクゾーン/ボールゾーンは無いが、投手が打者に対して明らかに打撃不可能な投球をした場合には、「暴投(*)を宣告され打撃側に1点付与される」ことを認識させる。
 *「ワイドボール」と呼称される。

(4)児童によるゲーム実施(約5分)
 学級を打撃担当班と投球(守備)担当班の2班に分類し、ゲームを実施。
 プログラム終了時には、「イージークリケット」シール交付(各児童1枚)及びクリケットポスター付与(各クラス1枚)。

【総括】
 幽谷分校は、平岡小学校の分校であり、全校生徒は37名(1年生〜4年生)である。そのうち、3年生と4年生24人に対してクリケット教室を体育館で行なった。EATのKevin Grounds先生は、日本語が上手で気さくにスタッフに話し掛けてくれた。ニュージーランドのクライストチャーチ出身という事で話が盛り上がった(Kevin先生は研修のため、途中で帰られた)。
 簡単なスタッフの自己紹介の後、授業は始まった。みんなALTのKevin先生の下で3〜4回クリケットをしたことがあるようであったが、松村がクリケットをするときの服装の説明や本物の道具(ボール、バット、レガース、キーパーグラブ、ベイル、ウィケット)をみせると、「いつもの道具と違う」と、みんなびっくりしていた。その中でもこんな硬いボールを素手でキャッチする事にインパクトが強かったようだ。
 ビデオを見た後にまた詳しいルール説明をしたときに、ボーラーが肘を曲げてしまったときはどうなるか、ボールが体にぶつかったときはどうなるか、といった質問を投げかけたときに、「アウトになる。」といった意見が多かったが、「誰がアウトになるの?」と、聞くとみんなおかしいぞと、いった顔をしていたときはとてもほほえましかった。
 実際に児童達に前にでてもらって実演をしてもらおうという時には、たくさんの児童から手が挙がってうれしかった。また、バッツマンのペアが“Yes”“No”とコミュニケーションをとっていかないと点数を稼ぐ事が出来ないという話をしたときに、“No”と片手を前に出して相手をとめるポーズをとったら、児童もまねをしていて面白かった。
 クラスを運動会の時の赤白に分かれてもらい、それぞれバッティングの順番とボーラーは男女交互に投げるように順番を決めてもらった。実際にペアーズクリケットがはじまると、最初はとまどっていた女の子が、だんだんしっかり声を出してランをしている姿が印象的であった。今回は時間が無くてフィールディングの説明があまり出来なかったが、360度どこにでも打てるということと、コミュニケーションをとりながらランをすることが大切ということは伝わったのではないかと思う。児童たちからバッティングをしている児童に声を出そうという指摘があったことがうれしかった。
 5時間目の授業なのでチャイムが鳴ってからも少しゲームを続ける事が出来てよかったと思う。そして最後に、学年ごとにポスターとクリキャットのステッカーを渡すと、児童たちから「ありがとうございます」というお礼の声と、「バットにはってあるのと同じだー」という喜びの声が聞こえられた。また、EASYクリケットのセットを置いていくと言うと、みんなよろこんでいた。
 授業を終えた後、先生から分校の生徒は5年生から平岡小学校に自転車で通うようになるということを聞いてびっくりした。本校の生徒たちともクリケットを通して、コミュニケーションをとっていってもらえたらと願ってやまない。